中国の広州知識産権法院(知財裁判所)はこのほど、特許侵害訴訟で、特許権者が明示的に許諾していなくても、その行為などから許諾の意思があったと認められる「黙示的許諾」について、判断基準を示した。最高人民法院(最高裁)も第二審で一審判決を支持し、判決が確定した。
発端は、ニュージーランドの住宅建設プロジェクトをめぐる取引だった。特許権者の関連会社が顧客企業に建築モジュールの技術図面を提供した後、両社の協業は中断した。その後、同顧客企業の協力会社である別の中国企業が建築モジュールを製造・販売したところ、特許権者から特許権侵害で提訴された。被告企業は、特許権者の関連会社が訴訟を起こさないと約束したことなどを根拠に、黙示的な許諾を得ていたと主張した。
裁判所は、特許権者とその関連会社はそれぞれ独立した法人であり、関連会社が訴訟を起こさないと約束しても、それだけで特許権者自身が許諾したことにはならないと判断した。また、海外プロジェクト向けに技術図面を提供したからといって、中国国内の特許権についても許諾したとは限らず、顧客企業に対する許諾が、その協力会社である第三者の製造業者に当然に及ぶわけでもないとした。被告企業の製品は特許請求の範囲に含まれると認定され、侵害行為の差止めと、損害賠償など計100万元の支払いが命じられた。
担当裁判官は、黙示的許諾の判断では、①許諾を行った主体と特許権者が同一であるか、②特許権の効力が及ぶ地域、③契約の効力が原則として契約当事者間に限られること、の3点が重要だと指摘した。そのうえで、権利者の行為によって取引相手が許諾を得たと合理的に信じるに至り、権利者の行為と許諾があるとの認識との間に直接かつ密接な因果関係が認められる必要があると説明した。
出所:中国知識産権資訊網
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